段ボールの歴史

段ボール技術年表

西暦 国名 事柄
1856 (英) E.C.ヒアリーとE.E.アレンがシルクハットの汗止め用裏打ち材として「しわ付き紙」を開発し特許を取得。
1871 (米) A.L.ジョーンズが紙に段をつけただけのもの(いわゆる「繰りっ放し」)の特許を取得。
ガラスびんや石油ランプのホヤ等の緩衝材としてわらやカンナ屑の代わりに使用された。
1874 (米) O.ロングが段が伸びてしまうのを防ぐために、段の片側にライナを貼り付けた片面段ボールを開発し特許を取得。びんやかめ類の包装に使用された。その製法は、でん粉を煮て作った濃度5〜8%の糊を段に手作業で塗布し、ライナと接着する方法であった。
1881 (米) 糊付けロール、ドクター、乾燥ロールの付いた貼合機が考案された。
1883 (米) この頃に、両面段ボールが考案されたと推定されている。
1894 (米) 段ボールシートに溝切りと裁断を施した段ボール箱が初めて製造された。
1895 (米) ウェルズ・ファーゴ銀行が、小さな貨物の出荷用に段ボール箱を使用し始めた。
  (欧米) キャタピラ付き両面段ボール製造機の製作が始まる。(現在のプレスロール方式ではなく、段に糊付け後、キャタピラで押し付けながら送る方式)
1900 (欧米) この頃に、段ボールの貼合に珪酸ソーダ(水ガラス)が使われ始めた。
1903 (米) 段ボールが有効な梱包材として鉄道会社に認められ、穀物を出荷するために使用された。
1907 (米) ミューレン破裂試験機が強度測定に採用された。
1908 (米) ラングストン社が、現在のコルゲータの原型となる両面段ボール製造機を開発。
1909 (日) 井上貞治郎が鋳鉄製ロールの手回し段繰機で繰りっ放しの国産化に成功。「段ボール」と命名。
  (米) ゴム製の印刷版が開発され、これによりデザインの幅が更に広がった。
1910 (欧米) 段ボール用接着剤として珪酸ソーダ(水ガラス)が主流になった。
  (米) 木箱から段ボール箱への転換が進む。同時に段ボール製造機にプレヒータ、プレコンディショナ等の付帯設備が装備され、珪酸ソーダを段ボール用接着剤に使用し、広幅・高速化へ進む。
1913 (日) この頃から、国内でも貼合用接着剤として珪酸ソーダの使用が始まる。
1915 (米) TAPPI(Technical Association for Pulp and Paper Industry)が設立される。
  (日) 繰りっ放しと片面段ボールが主体であったが、両面段ボールも生産され始めた。
1918 (米) 鉄道貨物に段ボールの使用が本格化した。
1919 (米) 鉄道の貨物等級の区分としてRule41が制定された。これは段ボールの最小厚さと破裂強さ(ミューレン破裂強さ)を規定するものであった。
1935 (米) スタインホール社が、でん粉を主原料にした貼合用の接着剤を開発し特許を取得。
この処方の開発により米国の段ボール業界はでん粉接着剤を使用するようになった。
1939 (日) スタインホール社の貼合用接着剤処方の日本特許が公告。
1944 (米) 鉄道規格が変更され、厚さに代えてライナの最低合計質量が規定された。
1946 (米) トリプルウォール段ボールが開発される。
    S&S社が世界初のフォルダーグルアを開発。
  (日) 国内メーカーがトムソン式(平盤タテ型)の打抜機を開発。
    段ボール、重袋専用のゴム印版の生産が始まった。手彫りが主で、わずかに鋳造版も生産。
1949 (日) 工業標準化法制定(JIS制定)。
1950 (日) JIS Z 1501「輸出品外装用段ボール箱」制定。
    この頃、アメリカでは、ワイヤージョイントより作業性の良いテープジョイントが多く使われていたが、日本はコスト面から殆どワイヤージョイントであった。
1951 (米) K.Q.ケリカットが段ボール箱の圧縮強さ推定式を含む段ボール箱の強さの基礎研究結果を発表。
  (日) 森林法の改正で、木材の濫伐が防止された結果、木材価格が高騰し、段ボール採用の機運が高まった。
    第3次吉田内閣が木箱包装を段ボール箱に切換えることを閣議で決定。
    JIS Z 1506「外装用段ボール箱」制定。
1952 (日) 工業技術院工芸指導所を工業技術院工芸試験所と改称し、国の機関として初めて業務範囲の一つに包装を組み入れた。
1953 (日) 段ボール技術委員会が結成され、第1回技術委員会を開催。
    貼合用接着剤のでん粉にコーンスターチの使用研究が始まった。
1956 (日) 日本段ボール協会がスタインホール社のでん粉接着剤の特許使用権を団体取得。
    缶詰・段ボール業界が共同して缶詰用ライナ規格を作成。
1957 (米) フレキソ印刷が導入された。この新しい印刷方法は、1970年代までに油性印刷に取って代わった。
  (日) 段ボール原紙「マル網スキ合せライナ」のJIS P 3902制定。特A,A,B,C級とし、比破裂強さで区分。
1958 (日) 青果物段ボール包装普及会発足。
    この頃、速乾性インキが普及。グリコールに樹脂を溶解したビヒクルを使用し、乾燥時間20〜30分。(これまで使用されていた油性インキの乾燥時間は3〜4時間)。
    国内で初の段ボール用Kライナ(クラフトライナ)抄造開始。(それまでは古紙を何層にも抄き合せたジュートライナを使用)。
1959 (日) JIS Z 1516「外装用段ボール」制定。
    耐水段ボール(ワックスディッピングタイプ)生産開始。
1960 (米) この年代にフレキソフォルダーグルアが開発された。
1961 (日) 海外メーカーとの提携により、高性能コルゲータの生産開始。加熱二重粘度方式のヘンリープラット製糊装置の国内販売開始。
1963 (日) この年に、スタインホール法の特許権が失効した。
 (特許は15年間で、本来1954年までのところ、「連合国人所有権特許措置法」により延長されていた。)
    JIS P 3902改正。外装用ライナとして丸網・長網を統一。
1964 (日) 日本初のEフルート製造。
    コルゲータにスリッタースコアラ付設始まる。
    国内メーカーがロータリーダイカッタ(ハード方式)開発。
1965 (日) フレキソフォルダーグルア国産化。
    フレキソインキが市場に。
    連続印刷の美粧段ボール販売開始。
    感光性樹脂版普及始まる。
1966 (日) 美粧段ボール、新形式箱、強化段ボールなどの実用化競争。
    フレキソ印刷への関心高まる。
    カットテープ箱の使用始まる。
1967 (米) ケロッグ社とRCA社が共同で、コンピュータ読取り可能なバーコード「コード2of5」を発表。
1968 (米) トラック輸送規格を定めたItem222が制定された。
  (日) 第1回全国段ボール技術者大会開催。防水段ボールの研究など発表。
    コルゲータ広幅時代に。
    コルゲータオンライン印刷が開発され、農産物用の段ボール箱に採用。
    耐水段ボール、強化中しん、化工でん粉の使用促進。
1969 (日) JIS Z 0501「段ボール印刷色(16色) 」制定。フレキソインキによる印刷増加。
1970 (日) 水質汚濁防止法公布。インキの廃水処理施設に関心高まる。
1971 (日) 国内メーカー、フォルダーグルア用自動給紙機(フィーダ)、スプライサ開発。
    ブリスボックス製箱機輸入。
1973 (日) 国内メーカー、世界初のコルゲータでのカットオフドライブを開発。これによって定点カットが可能になり、パターン印刷された段ボールを所定の位置でカットすることができ、本格的なプレプリント印刷された段ボールの生産が可能となった。プレプリント用5色広幅フレキソ印刷機開発。
    国産ワンタッチグルア開発。
1975 (日) Cフルート普及促進委員会設置。前年のオイルショックの影響もあって省資源対応として推進するも実用化に至らず。
    反り、省エネなどの目的でコールドコルゲーションの関心高まり、研究される。
    鮮度保持段ボールの関心高まる。
    美粧化のためプロセス印刷も始まり、それに伴い印版の樹脂化が進行。
1976 (日) 国内段ボールメーカー、フィンガレスシングルフェーサ開発。
1978 (日) 不況を背景に段ボールの軽量化進む。
    小分け包装可能なディスプレイボックスが市場に。
1982 (日) 多品種・少ロット・短納期対応時代へ。
1985 (日) 液状樹脂版開発される。
1986 (日) 物流バーコード研究会発足。
    青果物鮮度保持、防錆段ボールの研究始まる。
    サンプル製作用のCAD/CAMシステム導入開始。
1989 (日) タピオカでん粉によるプレミックスタイプ貼合用接着剤開発。
    高速印刷、作業軽減に対応して、印版の軽量化進行。
    工場内環境改善機運(紙粉除去、騒音防止)。
1990 (欧米) Fフルートの実用化。
1991 (日) FEFCO技術大会に、全国段ボール技術委員会から初めて委員を派遣。
    各製造業界がバーコード(JAN,ITF)採用の方向。
  (米) Item222とRule41改訂。破裂強さと坪量の代わりにエッジクラッシュ強さも使用することができるようになり、より軽量のライナ構成の段ボールが使用できるようになった。
1992 (日) JIS Z 0501「段ボールに印刷された色の標準」を18色に改正。
 (JISのゼロベース見直しにより廃止、2000年に業界規格へ移行)
    全国段ボール技術委員会、Rule41/Item222(1991年改訂版)日本語訳冊子発行。
1993 (日) ロボットパレタイザ採用進む。
    TAPPI技術大会に、全国段ボール技術委員会から初めて委員を派遣。
1994 (日) JIS X 0502「物流バーコード(ITF)」改正。印刷倍率縮小。一般は0.25以上、段ボールは0.6以上が望ましいとされたが、実際には、読み取り機の関係で流通からは、段ボールにも低倍率の要求が相次いだ。
    コルゲータメーカー各社 ベルトプレスシングルフェーサ、一枚刃のスリッタースコアラを相次いで上市。
1995 (日) 危険物船舶運搬貯蔵の適合容器に付するunマークの省令改正施行。
    容器包装リサイクル法制定。
    製造物責任(PL)法施行。
    段ボール工場初のISO9000シリーズの認証取得。段ボール工場においてISO9000シリーズの認証取得への関心高まる。
    Rule41/Item222(1991年改訂版)日本語訳発行。
1996 (日) フレキソ印刷機のアニロックスロールのセラミック化が普及。
    インキのコンピュータ・カラー・マッチングが話題に。
1997 (日) インキディスペンサーを開発。
    容器包装リサイクル法施行。ガラスびん、ペットボトルに適用。
1998 (日) 段ボール印刷用印版のデジタル製版化へ。
    調湿及び試験のための標準状態が、ISO規格との整合化のために、20℃、65%RHから23℃、50%r.h.へJIS改正。(相対湿度の表記も%RHから%r.h.に変更)
1999 (日) 段ボール工場において環境問題の高まりから、ISO14001の認証取得始まる。
    PRTR法公布 (2002年より排出量等の届出を開始)
2000 (日) 製箱工程の印刷面検査装置を開発。
    段ボールの製造・利用事業者と再商品化に係わる事業者団体が、容器包装リサイクル法に対応するために段ボールリサイクル協議会を設立。
    容器包装リサイクル法完全施行。段ボールにも適用される。
  (世界) 国際段ボール協会(ICCA)は、日本が提案した「段ボールの国際リサイクルシンボル」を認定。普及を決議。
2002 (日) EUの「包装品・包装廃棄物指令(1994年12月発効)」と「RoHS指令(2006年7月発効)」及び環境問題への一層の取組み強化のため、家電メーカーを中心にグリーン調達を推進。段ボールメーカーへも取組み要請、工場監査を実施。
2005 (日) 環境問題の高まり等から、再度Cフルート普及に向けて動き始めた。
2006 (日) 段ボールリサイクル協議会、「段ボールの3R推進自主行動計画」を公表。
2008 (日) 段ボールの製造エネルギー原単位及びCO2排出量原単位を公表。
  (EEEU) REACH規則(欧州化学品規制)の運用開始。
2009 (日) 全段連環境自主行動計画策定。
    CFP(カーボンフットプリント)への取組み始まる。
2010 (EU) REACH規則で貼合糊に使用するホウ素化合物が高懸念物質(SVHC)に指定される。
  (日) CFPプログラムで段ボール製容器包装が含まれる紙製容器包装のPCR(商品種別算定基準)が認定される。