容器包装リサイクル法
容器包装リサイクル法(容器包装に係わる分別収集および再商品化の促進等に関する法律)は、家庭などから一般廃棄物として排出される容器包装廃棄物を資源として有効に利用することを目的として制定されました。法律が生まれた背景としては、家庭などから一般廃棄物として排出される容器包装廃棄物が増え続け、廃棄物処分場の残余年数およぼ残余容量がひっ迫してきたことが挙げられます。
なお、現在段ボール製容器包装は、すでにリサイクルシステムが確立していることから、再商品化義務の適用を除外されています。
なお、現在段ボール製容器包装は、すでにリサイクルシステムが確立していることから、再商品化義務の適用を除外されています。
①役割分担
法律は、消費者、地方自治体、事業者に次のような役割分担を求めています。
- 消費者は、使用済み容器包装を居住する地方自治体のルールに従って「分別排出」する。
- 地方自治体は、容器包装廃棄物を「分別収集」し、厚生省令に定められた分別基準に適合させる。
- 事業者は、地方自治体が分別基準に適合させた容器包装を、自らまたは指定法人やリサイクル事業者に委託して「再商品化(義務)」する。
法律の対象となる事業者(特定事業者)は、容器の製造及び利用事業者と包装の利用事業者であり、商品を輸入販売する事業者は製造・利用両事業者に含まれます。
②法律の対象である容器包装
法律の対象となる容器包装は、下記の8品目に区分されています。法律は、1から4には1997年4月より、5から8には2000年4月より適用されました。
1.スチール缶 2.アルミ缶 3.ガラスびん 4.ペットボトル(飲料またはしょうゆ用) 5.飲料用紙製容器(アルミを使用しないもの) 6.段ボール製容器包装 7.その他紙製容器包装(5,6を除く) 8.その他プラスチック製容器包装(4を除く)
1.スチール缶 2.アルミ缶 3.ガラスびん 4.ペットボトル(飲料またはしょうゆ用) 5.飲料用紙製容器(アルミを使用しないもの) 6.段ボール製容器包装 7.その他紙製容器包装(5,6を除く) 8.その他プラスチック製容器包装(4を除く)
③事業者の再商品化義務
事業者が行うべき再商品化とは、自らの製品の原料として利用すること、自ら製品としてそのまま使用すること、前記を行う者に有償または無償で譲渡し得る状態にすることです。
- 再商品化義務の適用
法律の施行とともに、ガラスびん、ペットボトル、紙製容器包装、プラスチック製容器包装の4品目が再商品化義務を適用されました。なお、事業者の義務を有償で代行する指定法人として財団法人日本容器包装リサイクル協会が設立され、これら容器包装の製造・利用事業者が再商品化を委託しています。 - 再商品化の適用除外
事業者の再商品化義務は、地方自治体が分別基準に適合させた容器包装廃棄物が、「有償又は無償で譲渡できることが明らかである場合」には適用を除外されます。法律の施行に際して、スチール缶、アルミ缶、飲料用紙製容器、段ボール製容器包装の4品目は、再商品化義務の適用を除外されました。
④法律における段ボールの取扱い
●厚生省令で定められた段ボールの分別基準は下記の通りです。
- 原則として、約10トン程度の量が収集されていること。
- 圧縮されていること。
- 濡れていないこと。
- 原材料として他の素材を利用した容器包装が混入していないこと。
- 容器包装以外の物が付着し、又は混入していないこと。
●法律の施行に際して、段ボール製容器包装は、「分別されて圧縮された段ボールは有償で(製紙メーカーに)譲渡されている」として、再商品化義務の適用を除外された。(1999年6月15日、大蔵・厚生・農水・通産省令 第2号)
⑤段ボール産業の対応:段ボールリサイクル協議会の設立
段ボール製容器包装は再商品化義務の適用を除外されましたが、万一、市町村が分別基準に適合させた使用済み段ボールが有償または無償で譲渡できない事態が生じた場合には、段ボール製容器包装を製造および利用する事業者に再商品化義務が生じます。
そのような事態を未然に防止するために、段ボールを製造および利用する事業者団体は、段ボール古紙の回収、流通および再利用に係わる事業者団体とともに、2000年3月、段ボールリサイクル協議会を設立しました。
⑥容器包装リサイクル法の改正
容器包装リサイクル法は、施行後10年を経て、2004年夏より産業構造審議会と中央環境審議会において、約1年半におよぶ討議が行われました。審議会における最大の論点は、市町村の分別収集などの費用負担が過重であることから、3,000億円を超える分別収集費用を事業者に負担させるべきということでした。
一方、社団法人日本経済団体連合会(経団連)は、現行法が期待する役割を消費者、自治体、事業者、国などの各主体が十分に果たしていないことから、現行の役割分担の徹底・深化を図るべきとして、事業者は容器包装の3R推進などに向けた自主行動計画を策定し、容器包装の軽量化・薄肉化、過剰包装の是正、消費者の分別排出が進むよう情報提供の強化、啓発活動などに取り組むべきとの提言を行いました(2005年10月)。
段ボールリサイクル協議会が参加する容器包装に係わるリサイクル八団体は、「容器包装リサイクル法の目的達成への提言」と題する提言を行い、事業者による3R推進に向けた自主行動計画の策定および主体間の連携に資する取り組みを実行する決意を表明しました。そして、それぞれの団体が、決意表明に沿って「3R推進自主行動計画」を策定し、2006年3月28日に公表しました。
両審議会は、2006年1月、現行の役割分担の下で、国、地方自治体、事業者、国民といったすべての主体の連携を図ることによって、容器包装廃棄物の3Rの推進と、容器包装リサイクル制度の効率化を図る最終報告書をまとめました。両審議会の報告を踏まえた改正法案は2006年6月9日に原案通り成立し、同15日に公布、2007年4月1日に施行されました。